■株式会社の機関には、以下のものがあります。
●「株主総会」
「株主総会」は、株主で構成される会議体の機関です。議長(株主総会の秩序を維持し、議事の整理を行う)・役員(株主総会において株主から受けた質問についての説明を行う)・検査役(株主総会の招集手続きや決議方法についての検査を行う)・調査者(株主総会に提出される資料や業務、財産状況等についての調査を行う)によって運営され、その招集については、取締役会を設置しない会社では、1週間前(定款で短縮可能)までに取締役が書面又は口頭で通知を行い、(会議の目的事項の記載や記録は不要)、取締役会を設置した会社では、2週間前までに取締役が書面又は電磁的方法によって通知を行います(会議の目的事項の記載と記録が必要)。この株主総会には、
1 決算期ごとに毎年1回開催される「定時総会」
2 必要に応じて随時開催される「臨時総会」
があります。取締役会を設置しない会社では、株式会社の組織・運営・管理等株式会社に関する一切の事項を決議できる機関となり、取締役会を設置した会社では会社法に規定する事項と定款で定めた事項についてのみ決議できる機関となります。そして、この株主総会の決議は、多数決で行われるのですが、その方法としては、
1 普通決議
(総株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席株主の議決権の過半数で行う決議)
2 特別決議
(総株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の多数で行う決議で、定款で出席株主の割合や議決の割合等を変更することも可能であるもの)
3 特殊決議
(議決権を行使できる株主の半数以上かつその株主の議決権の3分の2以上の多数で行う決議又は総株主の半数以上かつ総株主の議決権の4分の3以上の多数で行う決議で、定款で出席株主の割合や議決の割合を厳格にすることも可能であるもの)
以上の3つがあります。また、実際の決議の場では、株主は株主総会に出席し、原則として1株につき1個の議決権を行使(代理人や書面・メール等電磁的方法による行使、更には複数の議決権の不統一行使も可能)するのですが、自己株式や相互保有株式、単元未満株式等については例外として議決権の行使が制限されることになっています。
●「取締役と取締役会」
「取締役」とは、「株主総会の普通決議で選任又は解任される、株主から経営の専門家として会社の経営を任された者」のことをいいます。会社の経営を任されているわけですから、
1 法人
2 成年被後見人(=精神上の障害により判断能力を欠く者)・被保佐人(=精神上の障害により判断能力が著しく不十分な者)
3 法令違反によって刑に処せられ、刑の執行を終えた日又は執行を受けなくなった日から2年を経過していない者・罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行を終えていないか又は刑の執行を受けなければならない者
等は、取締役になることができません。取締役会を設置した会社では取締役は3人以上必要であり、取締役会を設置しない会社では取締役は1人以上いればよいとされています。任期については、委員会を設置した会社(取締役会と会計監査人が設置され、取締役会の決議で選任又は解任される「執行役」と「三委員会」{「指名委員会」(株主総会に提出する取締役の選任又は解任に関する議案の内容の決定を行う)「監査委員会」(執行役や取締役の職務の執行を監査し、会計監査人の選任又は解任等の議案の内容の決定を行う)「報酬委員会」(執行役や取締役の報酬の決定を行う)}の委員を設置している会社)では1年、委員会を設置しない会社では2年(定款や株主総会の決議で短縮することもできます)、委員会を設置しない「非公開会社」(すべての株式の譲渡について会社の承認を必要とする株式会社)では最長10年まで伸ばすことができるとされています。
また、取締役によって構成される会議体の機関を「取締役会」(「公開会社」{すべての株式の譲渡について会社の承認を必要としないか又は一部の種類の株式の譲渡についてのみ会社の承認を必要とする株式会社}・監査役会や委員会を設置する会社では、必ず設置しなければならないとされています)といいます。
1 業務の執行の決定
2 取締役の職務の執行の監督
3 代表取締役の選定と解職
等の職務(委員会を設置した会社では、経営の基本方針や内部統制システムの整備・監査委員会の職務の執行に必要な事項等の決定・取締役や執行役の職務の執行の監督を行います)を行い、
1 重要な財産の処分や譲り受け
2 多額の借財
3 支配人その他の重要な使用人の選任又は解任
4 支店その他の重要な組織の設置や変更・廃止
5 社債の募集に関する重要な事項
6 内部統制システムの整備
7 決議による役員の責任の免除
等を主な専権事項としています。この「取締役会」の招集は、定款や取締役会の決議で特定の取締役を招集権者とすることもできるのですが、原則として各取締役が行い、開催日の一週間前までに(定款で短縮することができます)すべての取締役と監査役に招集の通知が行われます(全員が同意した場合、招集手続きは不要となります)。決議は、過半数の出席で議事を開き、出席取締役の過半数で行われます(定款でこの割合を増加させることができます)。しかし、大会社等においては、取締役を一堂に集めて決議を行うのが困難となる場合があったります。そこで新会社法では、
1 テレビ会議方式
2 電話会議方式
3 定款の定めによる書面又はメール等の電磁的記録による同意による方式
について規定し、決議の合理化を図ることにしています。一方、取締役の数が多い会社で迅速な意思決定ができるようにするということで、あらかじめ選任した3人以上の取締役(特別取締役)の過半数が出席し、出席者の過半数で「会社の重要な財産の処分や譲り受け」・「多額の借財」等の重要事項について決議するという「特別取締役による取締役会の決議」を、
1 取締役が6人以上である
2 取締役の内1人以上が社外取締役である 3 委員会を設置せずに取締役会を設置している
という3つの要件を満たした会社で行うことができるようになっています。
●「代表取締役」
「代表取締役」は、会社を代表して業務に関する一切の行為を行います。取締役会を設置しない会社では任意設置なのですが、取締役会を設置した会社では、必ず設置しなければならない機関です。「会社を代表して業務に関する一切の行為を行う」ことから代表取締役の行為は、多大な影響を与えることになりますので、注意が必要です。
●「監査役と監査役会」
「監査役」(非公開会社で会計参与を設置している会社においては、設置しなくてもよいのですが、取締役会を設置した会社においては、設置しなければならないとされています)は、株主総会の普通決議で選任され、特別決議で解任監される、監督専門の機関をいいます。任期は、原則として選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までですが、、非公開会社の場合であれば、定款に規定することにより最長で選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで任期を伸ばすことができるとされています。 また、この「監査役」は、計算書類等を監査し、監査報告を作成する「会計監査」と
1 役員への事業についての報告の請求・会社(又は子会社)の業務や財産の状況の調査
2 取締役の違法行為に対する差し止め請求
3 取締役会への出席と意見陳述(義務)
4 取締役の違法行為に対する取締役(取締役会を設置した会社では取締役会)への報告と取締役が株主総会に提出する議案についての調査結果の報告(義務)
等の「業務監査」を行いますが、監査役会や会計監査人を設置しない非公開会社では、定款に規定することによりこの監査役の権限を「会計監査」に限定することができるようになっています。
一方、この「監査役」で構成される監査の為の会議体の機関を「監査役会」といいます。この「監査役会」は、各監査役によって招集されます(監査役全員の同意があれば招集手続きを省略することができます)。大規模な会社では必ず設置しなければならない機関ですが、小規模な会社においても設置することができます。3人以上の監査役で構成されますが、そのうち半数以上は「社外監査役」でなければならず、監査役の中から1人以上を営業時間中に監査の職務に専念する「常勤監査役」を選任しなければならないとされています。「監査役会」においては、
1 株主総会に提出する監査報告の作成
2 常勤監査役の選任又は解任
3 個々の監査役の権限を妨げない限りにおいて監査の方針や会社の業務・財産の状況についての調査方法等、監査役の職務の執行に関する事項の決定
の3つの議決が行われ、監査役の過半数の決議で決定がなされます。また、議事については議事録が作成され、出席した監査役が署名(記名押印)を行うことになっています。
●「会計監査人」
「会計監査人」は、大規模な会社の計算書類等の監査を専門に行う、監査法人や公認会計士のみがなることができる機関をいいます。大規模な会社はもちろん、委員会を設置した会社において設置しなければならない機関で、株主総会の普通決議で選任又は解任されます。任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結の時までであり、別段の決議がない限り再任されることになっています。また、この「会計監査人」は、
1 会社の計算書類等の監査と会計監査報告書の作成
2 会社や子会社に対する会計の報告の請求と業務や財産の状況の調査
3 定時株主総会への出席と意見陳述
4 取締役の違法行為についての監査役(監査役会を設置した会社では監査役会、委員会を設置した会社では監査委員会)への報告(義務)
等の業務を行います。
●「会計参与」
「会計参与」は、株主総会の普通決議で選任又は解任され、監査法人や公認会計士・税理士(又は税理士法人)がなることができるという、新会社法の下で導入された機関です。委員会を設置せず取締役会を設置した会社では、原則として監査役を設置しなければならないのですが、中小規模の非公開会社では、「監査役」に代えて会計参与を設置することができるとされています。任期は、定款によって短縮することもできますが、原則2年であり、委員会を設置しない非公開会社では定款で最長10年まで伸ばすことができ、委員会を設置した会社では、任期1年となっています。また、この「会計参与」は、
1 取締役(委員会を設置した会社では執行役)との共同による計算書類や報告書等の作成
2 取締役会への出席と意見陳述(義務)
3 株主総会での意見陳述
4 株主への報告(義務)
等の業務を行います。
