介護サービス事業と成年後見制度について

■高齢化の進展を受けて、高齢者を支援する必要性から介護保険制度が導入されたわけですが、この介護保険制度と同時に成年後見制度=判断能力が不十分である者の権利を保護するというもの>が導入されることにもなりました(この成年後見制度の創設の際に日常生活に係る支援の仕組みを整備するということで、地域福祉権利擁護事業=社会福祉協議会が行います>が開始されました)。この成年後見制度には、法定成年後見制度=後見人の選任を家庭裁判所が行います>と任意成年後見制度=本人があらかじめ契約によって後見人の決定を行います>があり、法定成年後見制度には、

後見{=精神上の障害により判断能力がほとんどない者}
保佐{=精神上の障害により判断能力が著しく不十分である者}
補助{=精神上の障害により判断能力が不十分である者}

という3つの類型があります。成年後見制度を利用するには、本人及び配偶者・四親等内の親族・市町村長・検察官等が家庭裁判所に申し立てを行います。そして、家庭裁判所の調査官が本人の精神状態・生活状態・資産の状況・申し立て理由等について調査を行った上で本人の判断能力についての医師による鑑定が行われて審判が決定されます。そして、この家庭裁判所の審判において選任された成年後見人に代理権(本人に代わって法律行為を行うというもの)・取消権(本人が行った法律行為を取り消すというもの)等の権限が与えられることになっています。
介護サービスの契約を行うにあたり、認知症高齢者や知的障害者等、意思能力が不十分である者に対して成年後見人が代理で契約を行うことになるわけですが、実際のケースとしては、家族がいない利用者との契約を行う場合・任意後見制度を活用する場合が考えられます。家族がいる利用者の場合にはその家族が行うことになりますが、家族がいない利用者の場合には成年後見制度を利用して契約を行うことになります。また、自らの能力が衰える前に任意後見制度を利用して財産管理の方法やサービスを提供する事業者・医療サービス・介護サービスの内容等について信頼のおける者に対してあらかじめ依頼しておくということもできるようになっています(成年後見人には、家族や親類縁者・利害関係のない第三者がなることができます)。