■厚生労働省は、2011年に「介護保険法」等を改正し、医療と介護の連携を促進させるために「訪問介護」と「訪問看護」の2つのサービスを1つの事業所で一括して提供できる仕組みを創設する方針のようです。
現在では、「訪問介護事業所」と「訪問看護事業所」の2つの事業所があるわけですが、これらの2つの事業所に加えて「複合型事業所」を新たに創設するということが考えられているようです。
尚、都道府県により事業者指定を受けたこの「複合型事業所」については、「訪問介護」と「訪問看護」の2つのサービスを提供することができるようになるとされており、利用者のニーズに柔軟に対応していくことができるのではないかと期待されています。
「介護保険法」等の改正により事業者指定基準等がどのようになるのか今後も注目したいところですね。
(2010年9月・・・「日本経済新聞の紙面」より)
■2009年11月1日から2009年11月30日にかけて介護労働安定センターにより行われた2009年10月1日現在の「事業所における介護労働実態調査」(全国の介護保険サービス事業を実施する事業所から抽出=有効調査対象事業所数16860事業所<回答7515事業所,有効回答率45%>・事業所の内訳=法人経営主体別では民間企業49%,社会福祉法人17%,医療法人12%,社会福祉協議会7%,NPO法人6%,主とする介護サービスの種類別では訪問介護27%,通所介護24%,認知症対応型共同生活介護10%,介護老人福祉施設9%)と「介護労働者の就業実態と就業意識調査」(介護労働に関わる20630人の状況=調査対象50580労働者(有効回答数20630労働者,回答率41%)の結果が発表されました。
それによりますと、まず『雇用管理の状況』について、・訪問介護員,介護職員の1年間(平成20年10月1日から平成21年9月30日まで)の「採用率」が25%,「離職率」が17%
・早期離職防止や定着促進のための方策(複数回答)として、「職場内の仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている」が56%,「労働時間(時間帯・総労働時間)の希望を聞いている」が54%,「賃金・労働時間等の労働条件(休暇をとりやすくすることも含める)を改善している」が51%
・従業員の過不足の状況として、全体では「適当」が52%,「不足感」が47%
・雇用管理責任者の選任状況として、全体では「選任している」が47%,「選任していない」が38%
次に『訪問介護員,介護職員に対する教育・研修の状況』について、・人材育成の取り組みのための方策(複数回答)として、「教育・研修計画を立てている」が50%,「自治体や業界団体が主催する教育・研修には積極的に参加させる」が44%
・過去1年間の教育・研修の内容(複数回答)として、「介護技術・知識」が73%,「安全対策(事故時の応急措置等)」が61%,「接遇・マナー」が55%
また『運営上の課題』について、・介護サービスを運営する上での問題点(複数回答)として、「今の介護報酬では人材確保等に十分な賃金を払えない」が53%,「良質な人材の確保が難しい」が43%
・介護報酬改定に伴う経営面での対応状況(複数回答)として、「基本給の引き上げ」が30%,「諸手当の導入・引き上げ」が27%
そして『労働者の個別状況』(7515事業所で介護労働に従事する者76856人の状況)について、・全体の「平均年齢」は45歳,「訪問介護員」が51歳,「介護職員」が41歳
・保有資格(複数回答)として、「ホームヘルパー2級」が48%,「介護福祉士」が30%
・所定内賃金として、「月給の者の平均賃金」が21万2432円,「日給の者の平均賃金」が8208円,「時間給の者の平均賃金」が1098円
更に『法人・事業所の概況』について、・「介護サービス以外の事業を実施している」が56%
・実施している介護サービスの種類(複数回答)として、「居宅介護支援」が40%,「訪問介護」が39%,「通所介護」が37%
・職種別の従業員割合として、「訪問介護員」が26%,「介護職員」が48%
という結果になりました。
一方、介護労働者の『仕事についての考え方』について、・現在の仕事を選んだ理由(複数回答)として、「働きがいのある仕事だと思ったから」が58%,「今後もニーズが高まる仕事だから」が36%
・現在の仕事の満足度として、「仕事の内容・やりがい」が54%
・介護関係の仕事の継続意志として、「働き続けられるかぎり」が56%
介護労働者が『働く上での悩み,不安,不満等』について、・労働条件・仕事の負担についての悩み,不安,不満等(複数回答)として、「仕事のわりに賃金が低い」が50%,「人手が足りない」が39%,「有給休暇がとりにくい」が37%
介護労働者の『前職の状況等』について、・前職のある人の状況として、「介護サービスの仕事ではない」が60%
・現在の事業所に就職した理由(複数回答)として、「働きがいのある仕事だと思ったから」が46%,「やりたい職種・仕事内容だから」が44%,「資格・技能が活かせるから」が43%
・直前の介護の仕事をやめた理由(複数回答)として、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」が26%,「職場の人間関係に問題があったため」が24%
という結果になりました。
(2010年9月・・・介護労働安定センター「事業所における介護労働実態調査及び介護労働者の就業実態と就業意識調査」より)
■2009年12月にシルバーサービス振興会が実施した介護事業者の経営実態の把握並びに効率的・効果的なサービス提供のための事業収支シミュレーションの構築に関する調査研究事業(営利法人が運営している訪問介護事業所<介護予防訪問介護,居宅介護支援,介護予防支援を併設しているものを含みます>7489ヶ所の人員配置・サービス提供状況・収支・従業員の状況等についての郵送によるアンケート調査とヒアリング調査「回収数=1196件(回収率=16%),有効回答数=1002件(有効回答率=13%)」)の結果が発表されました。
それによりますと、まずアンケート調査の結果についてですが、1)回答事業所の所在地については、「その他」が30%で最も多く、「特甲地」が23%,「乙地」が19%,「特別区」が8%,「甲地」が7%
2)2009年9月の1ヶ月における収入の状況については、「1000〜2000千円未満」が21%で最も多く、「5000千円以上」が15%,「2000〜3000千円未満」が14%,「1000千円未満」が14%
3)事業収支分析上の仮説につき、アンケートの結果から、@「訪問介護単独型」と「居宅介護支援事業所併設型」・A「都市部」と「地方部」・B「9月収支差プラスの事業所」と「9月収支差マイナスの事業所」のグループに分類して傾向分析を行ったところ、・「移動時間が短い」・「規模が大きい」・「土日・休日の営業を行っている」・「報酬単価の高いサービスに注力している」・「余裕のあるサービス提供を行っている」事業所に9月収支差がプラスの傾向が見られたようです。
次にヒアリング調査(アンケート調査の協力事業所のうち、網羅的に回答頂き、かつ調査項目において2009年9月収支差プラスの回答を頂いた6事業所を対象に行った訪問取材)の結果についてですが、この調査結果から、収支差プラスに寄与すると思われる要因として、・「収支差をプラスにするためには一定以上の事業所の規模が必要である」・「収支差の向上に介護保険外サービスは寄与していない」・「特定事業所加算の申請は利用者の理解が前提である」・「利用者の受け入れは原則として断らない」・「一定の利用者減を前提に利用者増に取り組む」・「利用者増の取り組みはケアマネジャーとの信頼関係と連携の強化が原則である」・「利用者満足の取り組みや地域との密接な関係を構築する」・「経営者の報酬圧縮に基づく職員への利益還元を行う」等といったことが導き出され、また、事業者の経営理念について、大きく分けて・「利潤(金銭的な利益)の最大化を目指す志向」(=介護サービスを他の産業と同じく『事業』と捉え、利潤の確保と利用者へのサービス提供の質・提供のバランスを考慮しつつ、自社が設定する適性利潤の確保とその最大化を目標に事業を行うというもの)と・「ソーシャル・ビジネス的な志向」(=介護サービスを『事業』というよりは『社会的な目標の達成』により比重を置いた感覚で捉え、また、利潤の確保を重視するというよりは事業にかかったコストを回収できればよいとの前提で事業を行うというもの)という2つの志向があることが明らかになったようです。
(※尚、今回の調査結果からは、@「収支差をプラスにするためには一定以上の事業所規模が必要である」・A「訪問介護員等の稼働率を高めることが収支差プラスにつながっている」・B「時間外営業を行っている事業所が収支差プラスとなっている傾向がみられる」・C「地方部では移動時間が30分を超えると収支差プラスになりにくい」・D「収支差プラスの事業者については身体介護30分以内提供の割合が高い」という傾向が明らかになったようです。)
(2010年8月・・・シルバーサービス振興会「介護事業者の経営実態の把握並びに効率的・効果的なサービス提供のための事業収支シミュレーションの構築に関する調査研究事業」より)
■常時要介護の高齢者が入居する特別養護老人ホームの入居待ちが42万人に達する等、要介護の高齢者は増加しているのに介護施設の絶対数が不足しているといわれているわけですが、そのような状況の中で、診療所や訪問介護事業所等を併設した民間の高齢者向け賃貸住宅が入居待ちの要介護の高齢者の受け皿となる形で注目されているようです。
国土交通省による調査では、このような高齢者専用賃貸住宅が2009年度末に1663物件・4万2878戸まで増加し、このうち、24時間緊急時に看護師等が駆けつけてくれるという生活支援サービスを提供する物件が87%にも上るそうです。
タイプとしては、「介護型」と「自立型」の2種類があるようですが、「診療や介護サービスをすぐに受けられる」というのが要介護の高齢者だけではなく、要介護以外の高齢者にとっても何かあった時の安心感からということでニーズが高まっているようです。
高齢者が安心して暮らすことができる新たな住まいとして今後も物件数が増加してより一層注目を集めそうですね。
(2010年8月・・・「日本経済新聞の紙面」より)
■昨年(2009年)6月の「改正薬事法」が施行されたことにより一般用医薬品(大衆薬)の販売競争が激しくなってきたこと等を受けて、ドラッグ業界では、顧客の囲い込みに向けて介護事業と連携する動きが見られるようです。
『かかりつけの薬局』として高齢者とその家族のイメージを向上させることを目的として、
@クリエイトSDホールディングス⇒100u程度の通所介護(デイサービス)施設を併設したドラッグストアを開設予定。
Aグローウェルホールディングス(イオン系)⇒傘下の薬局が開設する大型ドラッグ店に300u程度の通所介護(デイサービス)施設を設置予定。
Bタキヤ(イオングループ)⇒リハビリ施設と組み合わせたドラッグストアを増設。
Cセイジョー(ココカラファインホールディングス傘下)⇒居宅介護支援事業所を併設するドラッグストアを展開。
等といった介護施設と併設する動きが相次いでいるようですが、他のドラッグストアの店舗サービスとの差別化を図るという意味においても、こうした高齢者とその家族を対象とした顧客争奪戦が高齢化社会の流れを受けて今後より加速していくのではないかと考えられています。
(2010年7月・・・「日本経済新聞の紙面」より)
■2010年1月12日から1月29日にかけて独立行政法人労働政策研究・研修機構により、全国の従業員数300人以上の企業及び100人以上299人以下の企業合わせて20,000 社(有効回収数⇒3,025 社・有効回収率⇒15%)を対象に行われた「今後の産業の動向について企業がどのような展望を持っているか」・「それに伴ってどのような人材に対するニーズが生まれるのか」・「人材を確保するための施策,育成方法はどのように変わっていくのか」等についての調査結果が発表されました。
それによりますと、「今後の産業分野についての見通し」について、成長が期待できる産業分野では、「新エネルギー・省エネルギー関連分野」が82%で最も多く、「医療・福祉関連分野」が77%,「環境関連分野」が73%,「バイオテクノロジー関連分野」が62%,「情報通信関連分野」が56%,「新製造技術関連分野」が47%,「生活文化関連分野」が32%(成長が期待できないと考えられる産業分野では、「住宅関連分野」が39%,「人材関連分野」が34%,「都市環境整備関連分野」が24%,「流通・物流関連分野」が23%)という結果になりました。
一方、業種別に見た成長が期待できる産業分野では、「新エネルギー・省エネルギー関連分野」は『学術研究,専門・技術サービス業」で92%と最も多く、「電気・ガス・熱供給・水道業」で91%,「製造業(素材関連)」で88%,「製造業(消費関連)」で88%,「金融・保険業」で87%、「医療・福祉関連分野」は「宿泊業,飲食サービス業」で83%,「製造業(素材関連)」で83%,「電気・ガス・熱供給・水道業」で83%,「金融・保険業」で82%,「医療・福祉」で82%、「環境関連分野」は「製造業(素材関連)」で86%,「学術研究,専門・技術サービス業」で80%,「製造業(機械関連)」で77%,「製造業(その他)」で76%等という結果になりました。
また、「雇用拡大への影響」について、今後雇用が拡大すると期待される産業分野としては、「新エネルギー・省エネルギー関連分野」を挙げる企業の割合が11%で最も高く、「環境関連分野」⇒10%,「医療・福祉関連分野」⇒8%,「新製造技術関連分野」⇒6%,「情報通信関連分野」⇒6%,「流通・物流関連分野」⇒5%となり、業種別では、「新エネルギー・省エネルギー関連分野」が「建設業」で20%,「学術研究,専門・技術サービス業」で20%,「製造業(機械関連)」で19%,「電気・ガス・熱供給・水道業」で17%、「環境関連分野」が「建設業」で15%,「製造業(機械関連)」で14%,「学術研究,専門・技術サービス業」で14%、「医療・福祉関連分野」が「医療・福祉」で23%,「生活関連サービス,娯楽業」で13%,「製造業(消費関連)」で12%,「情報通信業」で11%という結果になりました。
(2010年7月・・・独立行政法人労働政策研究・研修機構「今後の産業動向と雇用のあり方に関する調査」より)

