■介護サービスの事業を始めるにあたっては、まず「在宅型」か?それとも「施設型」か?ということが考えられると思うのですが、「在宅型」のメリットとしては、
@初期投資が少ない。
A必要な数の人員を集めさえすれば簡単に事業を始めることができる。
等といったことが挙げられますが、その反面デメリットとしては、
@利益率が低い。
A業務形態が不定形である。
B利用契約やサービス提供等の面で利用者とのトラブルが発生しやすい。
等といったことが挙げられます。一方、「施設型」のメリットとしては、
@一定数以上の利用者を確保できれば利益につながる。
A業務形態が定型的である。
等といったことが挙げられますが、その反面デメリットとしては、
@土地や建物・設備等への投資のリスクがある。
等といったことが挙げられます。実際に介護を受けたい場所として「自宅」を挙げている高齢者が数多いといわれているわけですが、そのような中で介護サービスの事業を始めて利益を上げていくためには、やはり「訪問系の介護サービス」を中心として他の介護サービス・介護事業を組み合わせた事業展開=例として、
●「居宅介護支援事業」をベースに「訪問系・通所系の介護サービス」・「福祉用具貸与・特定福祉用具販売」等の事業を組み合わせる方法
●「福祉輸送サービス」や「配食サービス」・「高齢者専用賃貸住宅」等、介護保険の対象外のサービス・事業を組み合わせる方法
等について十分検討する必要があります。
★「マーケティング」について
●「<情報収集と分析>」
▲介護サービスの事業では、限定された地域内において事業展開を行うことになりますので、地域の利用者のニーズに対応したサービスを提供していくためにも、実際に事業を行うその地域の情報の収集と調査及び分析(市区町村の介護保険事業計画についての情報及び地域包括支援センターや社会福祉協議会,医療機関その他の関連機関についての情報の収集・近隣の介護サービス施設や指定事業者,並びに介護給付費等についての調査を行うこと)が大切となります。
●「<戦略の策定>」
▲これらの情報の分析結果を基にして戦略の策定を行うことになるわけですが、その中心となる考え方の手段としては、
▲商品戦略(Product)
<他の事業所と競争していく中で、「どのような介護サービスを提供するのか?」・「どのくらいの利益を上げるのか?」について明確にします。>
▲価格戦略(Price)
<介護サービスを提供する上でのコストや価格に対する利用者の受容性・他の事業所との競争力等を考慮して価格の設定を行います。>
▲流通戦略(Place)
<利用者に対して効率的な介護サービスを提供することを念頭に置いて、立地・予算・スペース等について検討し、介護サービスの提供場所の設定及び物件の選定等を行います。>
▲プロモーション戦略(Promotion)
<実際に介護サービスの事業を運営していく中で、事業所案内やチラシ・パンフレット,ホームページの作成・タウンページや専門情報誌への掲載・セミナーやイベント等の開催についての広告宣伝やPR活動・居宅介護支援事業者や既存の介護サービス事業者,地域包括支援センター,社会福祉協議会,医療機関,自治体や地域住民への営業活動・顧客満足度の向上に向けてのホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)の体制の整備とISO9001の取得等の効果的な組み合わせについての検討を行います。>
▲接客要員(Personnel)と顧客参加(Participation)
<人材の質の向上ということで、介護サービスの提供者の利用者に対する接し方やマナーについての完成度を高めること,介護サービスの質の向上ということで、利用者参加型の介護サービスの提供を促進させること,更に経営理念を確立することや社員のパート化による人件費の固定化を防止すること,業務のアウトソーシング化等の戦略の策定を行うこと,P(計画)D(実行)C(確認)A(対策実行)サイクルを確立させること等、事業経営の質を高めていくことに重点的に取り組みます。>
等といったものが挙げられます。
●「<戦術の策定>」
▲こうして策定した戦略を基にして、実際の活動内容をスケジュールと共に、年間計画・半期計画・四半期計画・月間計画・週間計画等というように、具体的な行動計画として(それぞれの活動に対する予算の設定も同時に行います)順次決定していくことになります。
★「事業収支計画の作成」について
●介護サービスの事業としての基盤を築いていくためには、実際の「事業計画」の作成に入る前に、
▲「なぜ介護サービスの事業を始めるのか?」
▲「いつから介護サービスの事業を始めるのか?」
▲「どの場所で介護サービスの事業を始めるのか?」
▲「誰が介護サービスの事業を行うのか?」
▲「誰に対して介護サービスの事業を行うのか?」
▲「(料金体系も含めて)どのような介護サービスを提供するのか?」
▲「どのような方法で介護サービスを提供するのか?」
等について考えることが大切です。そうして、具体的な「事業収支計画」の作成を行っていくことになります。
●「<資金計画>」
▲法人を設立するために必要な費用・事業所費用やその他の備品等の費用・事業の立ち上げ後の運転資金等についての検討を行います。
●「<売上計画>」
▲基本となる部分・加算や減算が行われる部分について確認する等、それぞれの介護サービスについての介護報酬単位の構造をしっかりと把握した上で検討を行います。
●「<経費計画>」
▲介護サービスの事業において経費の大半を占めるのは人件費です。人員の職種と配置人数(事業の種類や利用者の数により異なりますが、それぞれ「介護保険法」に規定されています)についての確認,また、人件費について、職種ごとの地域の相場についての調査を行います。
●「<収支計画>」
▲作成した「<売上計画>」と「<経費計画>」を基に、どのくらいの利益(売上高−経費)が出るかについて算出します。また、経費を抑えて利用者の数を増加させ、売上高をアップさせるための計画についても同時に検討を行います。
●「<資金繰り計画>」
▲毎月発生する事業所の家賃や社員への給与の支払いには現金が必要となりますが、介護報酬は介護保険請求の約1ヶ月半後に入金されることになっています。そこで、売上の大部分を介護報酬に依存する事業者の場合には、
▲「売上高の現金の入金はいつ行われるのか?」
▲「毎月の支払いの際に必要な現金が手元にあるのか?」
等について把握しておく必要があります。尚、事業を立ち上げる際の「<資金繰り計画>」は、1ヶ月単位のものを作成します。また、これらの「事業収支計画」は、一度作成すればそれで終了あるいは完成というものではありません。様々な事情等によって計画の変更を余儀なくされる場合も十分考えられます。事業を失敗させないためにも、計画の見直しも考慮に入れて十分検討した上で作成していくことが何よりも大切となります。
★「物件の選定」について
●各介護サービスの事業ごとによって異なるのですが、実際に物件の選定を行うにあたっては、
▲交通の便や道路幅・周囲の環境等の立地
▲設備の設置等についての予算
▲事務所等の室内や駐車場等のスペース
等を考慮する必要があります。また、実際に物件を探すといった場合には、地元の不動産業者を利用するという方法もありますが、商工会議所や商工会等でも空店舗情報等についての情報収集ができるようになっています。
★「職員の採用と雇用管理」について
●介護サービスの事業においては、数多くのホームヘルパーが必要になります。このホームヘルパーの雇用形態としては、
▲正社員
▲パートタイマー
▲契約社員
▲登録社員
等といったものがありますが、事業者は募集や採用方法についてはもちろんのこと、どのような雇用形態の下で組織化し、介護サービスの提供を行っていくかについて十分検討する必要があります。実際には、利用者宅への「訪問予定表」の作成や各ホームヘルパーごとの「勤務予定表」の作成・担当地域の割り当ての決定を行う等してローテーションを組むことになりますが、利用者の要介護度・認知症の有無・その他性格面に加えて、ホームヘルパーの能力や適性等(「管理者」や「サービス提供責任者」に対してはもちろんのことですが、ホームヘルパーに対してもその質を高めるという意味において、経営理念・事業の運営方針・接遇マナー・介護の知識や技術・介護保険制度及び関係法令の周知・感染症等の予防対策・介護時の腰痛等の予防対策・安全面における対策・その他研修及び教育訓練等を行う必要があります。)、利用者とホームヘルパーとの相性を考慮しながら介護サービスの提供を行っていかなければなりません。尚、介護サービスの提供を行うにあたりホームヘルパー等の職員を新規に採用するといった場合には、労働保険(労働者災害補償保険・雇用保険)や社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入の手続き・雇用形態ごとの賃金及び労働時間の設定・「就業規則」や各種「社内諸規程」等の整備を行うことも大切となります。
★「介護職員基礎研修」について
●介護職員基礎研修というのは、介護職員として介護サービスに従事しようとする者を対象とした基礎的な職業教育として、対人理解や対人援助の基本的な視点と理念・専門的な職業人として職務にあたる上での基本姿勢・基礎的な知識及び技術等を修得させると共に、介護職員については将来的には、任用資格は介護福祉士を基本とすべきであることを踏まえてより専門的な知識及び技術を修得するための機会とすることを目的として行われるものです。
この介護職員基礎研修の実施主体は、都道府県知事又は都道府県知事の指定した者(社会福祉協議会や民間営利法人等)とされており、また、介護福祉士の資格を有していない者で、今後介護職員として従事しようとする者もしくは現任の介護職員が対象となっています。
尚、研修科目等については告示に従って定められており、各科目とそれぞれの研修時間数については、以下の通りになっています。
▲研修科目と研修時間数
■<基礎理解とその展開:360時間>
1)生活支援の理念と介護における尊厳の理解:30時間
2)老人・障害者等が活用する制度及びサービスの理解:30時間
3)老人・障害者等の疾病・障害等に関する理解:30時間
4)認知症の理解:30時間
5)介護におけるコミュニケーションと介護技術:90時間
6)生活支援と家事援助技術:30時間
7)医療及び看護を提供する者との連携:30時間
8)介護における社会福祉援助技術:30時間
9)生活支援のためのアセスメントと計画:30時間
10)介護職員の倫理と職務:30時間
■<実習:140時間>
1)事前演習:8時間
2)実習:124時間
◎施設・居住型実習:80時間
◎通所・小規模多機能型実習:40時間
◎訪問介護実習
◎地域の社会資源実習:4時間
3)事後演習:8時間
合計:500時間
(尚、訪問介護員養成研修課程の修了者については、以下の通りに科目の一部が免除されることになっています。)
@介護等の実務経験が1年以上の者(従事期間が365日以上かつ就労日数が180日以上の者)
◎訪問介護員養成研修1級課程の修了者:60時間
◎訪問介護員養成研修2級課程の修了者:150時間(介護技術講習会の修了者については120時間)
◎その他:300時間(介護技術講習会の修了者については270時間)
A介護等の実務経験が1年未満の者
◎訪問介護員養成研修1級課程の修了者:200時間
◎訪問介護員養成研修2級課程の修了者:350時間

